サレジオ教会について
「江戸のサンタマリア」に捧げられた教会
東京・目黒区の碑文谷にそびえたつカトリック碑文谷教会(サレジオ教会)。
戦後まもなく、この地にカトリックの信仰の種が蒔かれ、内外の多くの方々の献身的な協力で、1954年に現聖堂が完成しました。
その年、東京国立博物館で一つの聖画が発見されました。キリスト教が迫害された江戸時代の最後のキリシタン・バテレン(宣教師)であるシドッティ神父(後に江戸キリシタン屋敷で殉教)がイタリアから携えてきた聖画、カルロ・ドルチ作の「親指の聖母」(悲しみの聖母)です。これにちなんで、カトリック碑文谷教会は「江戸のサンタマリア」に捧げられました。聖母画のレプリカが聖堂横・入口の小祭壇上に掲げられています。
カトリック碑文谷教会は通称「サレジオ教会」とも呼ばれています。カトリック東京大司教区からサレジオ修道会に委託された教会であるからです。
サレジオ会とはキリスト教・カトリックの男子修道会で、19世紀にイタリアの司祭、聖ヨハネ・ボスコ(1815-1888)によって創立されました。
聖ヨハネ・ボスコはドン・ボスコとも呼ばれ、産業革命の急激な進展とイタリア統一運動のさなかに殺伐としていたイタリア国内にあって助けを必要とする青少年の教育の必要性を痛感し、取り組みを始めました。やがて、ドン・ボスコのもとに教え子たちが集まって修道会が発足。サレジオ会はここ日本を含む全世界に活動の範囲を広げていきました。
カトリック碑文谷教会聖堂の建築はロマネスク様式で、荘厳で落ち着いた雰囲気をかもしだしています。
祭壇やその他を飾る鮮やかで豊かな装飾は、ジャコモ・フェラーリ修道士によるものです。堂内の美しい十字架、み心のイエス像、被昇天の聖母像、十字架の道行などの彫刻は、いずれも、イタリアの優れた伝統的宗教芸術から生まれた作品です。
祭壇左側の白い大理石像は「ピエタ」といい、イタリアの彫刻家、モンタユティ作です。右側の彫刻は「聖ヨハネ・ボスコ」で、パウロ・ファローニ神父作です。さらに、イタリア産の大理石の柱が何本も光沢をたたえています。後方左側には洗礼所があり、壁画は洗礼者ヨハネから洗礼を授けられるイエス・キリストを表しています。
聖堂は、平常時は400名程度の着席が可能であり、鐘楼の高さは36メートルにものぼります。
碑文谷教会の小祭壇上にあるレプリカ。実物は東京国立博物館に収蔵
教会の歩み
1925年(大正14年) | サレジオ会リナルディ総長はサレジオ会宣教師派遣50周年記念として日本への宣教師派遣を決定し、団長にイタリア人のヴィンチェンツォ・チマッティ神父を任命する |
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1926年(大正15年)2月8日 | チマッティ師らサレジオ会宣教師団が門司に到着する |
1933年(昭和8年) | サレジオ会が東京に進出し、三河島教会を担当する |
1934年(昭和9年)4月1日 | ローマにてドン・ボスコ列聖式が行われる |
1935年(昭和10年) | 大分・宮崎知牧区の初代教区長にチマッティ師が任命される |
1937年12月(昭和13年) | サレジオ会日本管区が誕生する。準管区から昇格。初代管区長にチマッティ師が就任 |
1947年12月(昭和22年) | 東京・目黒区碑文谷の土地をサレジオ会が購入する |
1948年3月(昭和23年) | 碑文谷にサレジオ会の司祭館が完成する |
1948年7月(昭和23年) | 碑文谷にサレジオ会員のルイジ・ダルフィオール神父が着任し、オラトリオ(日曜学校)が設置される。現在のカトリック碑文谷教会の礎となる |
1949年(昭和24年) | 碑文谷に聖堂が置かれる |
1949年5月(昭和24年) | 目黒サレジオ幼稚園が開園する。初代園長にダルフィオール師が就任する |
1954年4月(昭和29年) | 目黒星美学園小学校(現在のサレジアン国際学園目黒星美小学校)が開校する |
1954年5月22日(昭和29年) | 碑文谷教会現聖堂の献堂式が行われる(駐日教皇庁使節フルステンベルグ大司教司式) |
1960年4月(昭和35年) | 目黒サレジオ中学校(現在のサレジオ学院中学校高等学校)が開校する |
1965年10月6日(昭和40年) | チマッティ師、帰天 |
1967年10月(昭和42年) | 碑文谷教会がカトリック東京大司教区の小教区となる(主任司祭・山頭原太郎神父) |
1988年1月(昭和63年) | ドン・ボスコ帰天100周年にあたり、聖堂祭壇に聖ヨハネ・ボスコ像が設置される |
1991年12月(平成3年) | チマッティ師、教皇ヨハネ・パウロ2世から「尊者」の称号を受ける |
2001年6月(平成13年) | ダルフィオール師、帰天 |
2009年12月18日(平成21年) | サレジオ会創立150周年を迎える |
2015年(平成27年) | ドン・ボスコ生誕200周年を祝う |
2020年4月(令和2年) | 松尾貢神父が主任司祭として着任する |
2024年5月22日(令和6年) | 現聖堂献堂70周年を迎える |